家に入った瞬間、女が俺の背中に抱きついてきた。 「光輝が来てくれて嬉しい」 背中に女の声が響く。 こんな風に、声が響く、なんて茉莉とは有り得ない。 イライラする。 いちいちこの女が声を発する度に心が満たされていく自分に対してムカついた。 イライラする、イライラする。 イライラするけど 「なぁ、俺を愛してる?俺のこと好き?」 満たされたい。 「愛してるよ」 俺はこの言葉を求めてここにきたんだ。