それだけなのに、茉莉は頬を紅色に染めて口角をクッと上げて優しい瞳になる。 こういう表情を見ると、さっき苦しかった胸がふと温かくなった。 今すぐ抱きしめて、ずっとずっと腕の中に閉じ込めていたい。 けど、もう行かなくちゃ。 「じゃあな。また明日学校で」 自分が作れる精一杯の笑顔で彼女に手を振り、背を向けていたドアを開けて家を出た。