彼女に触れる理由



茉莉の声を聴いて、何か心の隙間が埋まっていく感覚があった。


もっと声を聴かせて?


俺に愛されてる、って実感をくれよ。



足りない


足りない


足りない



もっと声を聴かせて。




ゆっくり唇を離して茉莉の顔を覗きこむように見る。


〈今のキス、怖い……〉


家を出る時と同じように、制服の袖で涙を拭きながら手を動かして伝えてきた。



っでだよ。


なんで“怖い”って言われなきゃいけねぇの?


「俺のこと好きじゃねぇの?」