「もう家出ないと学校遅刻する」 いつものように口をゆっくり動かす。 茉莉は一瞬、床に視線を落として涙を制服の袖で拭いた後、また顔を上げて 〈そうだね〉 とだけ伝えてきて、通学カバンを手に持った。 俺もその辺に転がってた通学カバンを拾い、茉莉の腕をつかんで部屋を出る。 俺達はそのまま玄関に行って、家を出た。