なんで茉莉の口から、声で「愛してる」が聞けないんだろ。


手話じゃ足りない。


キスじゃ足りない。



「愛してる」が欲しい……。




〈顔色悪いよ?家入らないの?〉


茉莉がまた心配そうな顔をして俺の顔を覗きこんで伝えてきた。


あ。そうだ、学校にいく準備しないと。


つか、そんなに顔色悪かった?



「風呂入ってくるから部屋行ってて」


茉莉に心配かけてばっかだな……。



俺達は靴を脱いだ。


そして茉莉の腕を引っ張って静かな家の中へと入り、部屋の近くまで連れて行った。