俺の顔を見た瞬間茉莉は、りんごのように顔を真っ赤にした。
あ~、面白すぎ。
って、そんな場合じゃなくて
「何円足りないの?早く金払わないと」
時間がないんだった。
茉莉は目を見開いて、“なんで分かったの?”って表情が言ってる。
「あの……会計を早くしてもらえませんか?」
店員がイラついたように言うから、茉莉に「ほら、早く」というと彼女はハッとして
〈150円貸して〉
と口を“への字”にして、手話で伝えてきた。
俺はあまりの茉莉の表情の可愛さと面白さに笑いをこらえながら、財布から100円玉1枚と50円玉1枚を探して彼女に渡した。