何度も、何度も繰り返される優しいキス。


私は、目を閉じることができなかった。


動くことすら出来なかった。


彼がとても、愛おしそうに私を見ていたから。


その顔がずっと見ていたくて。


口を開いて悪態をつかれなければ、彼は夢の世界の王子様そのものだ。


目を凝らして、彼の綺麗な顔を見ていたら意識が遠のいていった。


ああ、でもなんて不思議な感覚。気持ちいいって言葉ではたりないくらいにフワフワしてる。


だけど、記念すべき初夜に、私は極度の緊張のあまり、失神してしまったのだった。


「つむぎ、つむぎ」


何度も私を呼ぶ彼の声が耳に心地よくて、私は安心して意識を手放した。