さっきのお店を出て、また2人で車に乗り込むと伊織さまが繁々と私を眺めてきた。


というか、さっき買ってもらったクリーム色のワンピースを見ているみたいで。


「つむぎの良さを最大限に引き出してくれる服だな、とてもよく似合ってる」


「あ、あの」


ストレートに褒められると恥ずかしくなり、戸惑ってしまう。


「リボン、少し緩んでるから結び直してやろう」


「あ、いえ私が自分でやります」


彼がワンピースの腰のリボンに手を伸ばそうとするので慌てた。


「つむぎ、ファスナーはどこだ?」


「え、えっと背中のところです」


「ふうん」


なんでファスナーなんて気にするんだろうか。


彼が眩しそうに私を見つめるので、顔が火照ってくる。


「つむぎ、知ってるか?男が女に洋服を贈るってことがどういう意味か」