く、来る⁉︎


死り神がやってくる!


死りとりに失敗した悠馬の首を、鎌でかっ切るために。


「おら、来いよ!」


真っ暗闇の中で、悠馬の挑発する声だけが聞こえてくる。


私は前回同様、響子と抱き合っていた。


悠馬には申し訳ないけど、私たちにはどうすることもできない。


失格者となれば、殺される。


つまり失格者でない私たちは、襲われることはないんだ。


「ぶっ殺してやっからよ!」


がしゃん!と派手な音を立てて、机が倒れた。


おそらく椅子の脚を持ち上げ、ぶんぶんと振り回しているからだ。


悠馬は、死り神をも返り討ちにする気でいる。


勝てるのか?


あんな鎌を持った、化け物に敵うの?


「離れたほうがいい」


不意に耳元で声がして「ひぃっ!」と叫んでしまった。


危ないからと、新田くんに引っ張られて悠馬から離れる。


闇雲に振り回している椅子に、巻き込まれる可能性があるからだろう。


すり足で後ずさり、距離をとる。


「かかってこいよ!」


悠馬が怒鳴った瞬間、がんっ!と鈍い音がして何かが倒れた。


手応えがあったのだろう、暴れていた悠馬も静かになる。


うそでしょ?


本当に倒したの?


それとも、他の誰かに当たったとか?


息を止めて、明かりがつくのを待った__。


「えっ⁉︎」


私は、明かりが戻った教室の床を、唖然と見つめる。