小さな笑い声は、少しずつ大きくなっていく。
初めは、賢太が笑っているんだと思った。
長い間、いじめ抜かれていた悠馬を、死に追いやることができて喜んでいるのだと。
でも、そうじゃなかったんだ。
「__悠、馬?」
後ろから羽交い締めしていた新田くんが、恐る恐るといった風に悠馬かれ離れる。
あれだけ賢太に食ってかかっていたのに、持っていたトロフィーを投げ捨て__笑っていた。
肩を揺らして笑っているのは、悠馬だったんだ。
もう残り時間が少ないというのに?
賢太にまた裏切られて、あんなに怒っていたのに?
どうして笑うことができるの?
もうすぐ、死り神が襲いかかってくるのに?
「お前、馬鹿だろ?」
床に転がって、唖然といじめっ子を見上げている賢太に言い放つ。
「俺が、お前の魂胆、わからないとでも思ったか?」
「えっ__?」
「どれだけ痛めつけても、お前が俺を殺そうとしてることくらい分かってんだよ。つまり、俺に【る】のつくもの探させようとするってな」
「うそっ」
思わず呟いたのは、響子だ。
私だって信じられない。
なんでも力で押し切る悠馬が、そこまで考えていたなんて。
悠馬は【る】がくることを知っていたんだ。



