「やめる方法が見つかるまでは、しりとりを続けるしかないな」
新田くんの言葉が、重くのし掛かってくる。
これまでのように、あらかじめ相談してアイテムを仕込むことができない。
ぶっつけ本番でクリアするしかないんだ。
1日1回のゲームをクリアして、その間にゲームから逃れる方法を見つけないと__。
「あっ、悪い。今日はもう行くよ」
「えっ?」
「ごめん」
申し訳なさそうに謝ると、新田くんは立ち上がった。
テーブルから離れる前に目が合ったけど、すぐにそらして行ってしまう。
明香が死んで心細いのに、どこに行くの?
「やっぱり彼女のほうが大事だよね?」
響子の視線の先には、ファミレスの外で抱き合う新田くんと、我聞めぐみがいた。
めぐみは泣いているのだろう。
新田くんが頭を撫でて慰めている。
めぐみはなにも関係ないじゃないか。明香の死を目の当たりにしたのは、私のほうなのに__。
肩を寄せ合った2人が遠ざかっていく。
その後ろ姿を見つめている私は、明香をなくした悲しみより、理不尽な怒りを覚えていた。
新田くんの隣は、私のはずなんだ。
私の。



