なにもない。
【る】から始まる、学校内にあるもの。
今のところ全く思いつかない。
ということは、響子が【る】で終わらせれば、とたんに私がピンチだ。
でももし私が【る】で終わらせて順番を回せば、賢太を窮地に追い込むことができる__。
「あと3分だ」
新田くんが残り時間を知らせても、明香は焦った様子もない。
2回も続けて【る】のものを探すのが、馬鹿らしくなったのかも。
明香はクールで頭もいい。
しりとりゲームをクリアする方法を見つけたのも明香だ。
焦ってカッコ悪いところを見せるなら、いっそ失格になったほうがいいのかもしれない。
「明香、失格になっちゃうじゃん!」
響子が急かしても、明香の態度は変わらない。
完全に探すこともやめ、腕組みをしている。
汗だくで探し回って見つからないよりは、潔く諦めたほうが格好がつく。
それに__と、私は思う。
別に失格になったからって、どうなるわけでもない。
ただ、このしりとりゲームから脱落するだけで、そのあとゲームが続くのかすら分からないんだ。
ポイントを得られないだけで、痛くもかゆくもないだろう。
それが分かっているから、明香はゲームから抜けることを選んだだけ。
『タイムオーバーです』



