ぶっつけ本番でやるしかない。
これからは打ち合わせしたり、そのものを仕込んだりすることができなくなる。
まぁ、それがしりとりと言われれば言い返せないし。
もう自分の番なのに、私がそんなことを考えていられるのは、少し余裕があるからだ。
【と】のつくもの。
響子がいいパスをくれた。
簡単に答えが見つかったんだ。
でもまだ制限時間はたっぷりある。
だから次の賢太に、アイコンタクトを送っているのに悠馬が邪魔をする。
さっきから賢太にヘッドロックをしているからだ。
もし私の言う答えが伝わったなら、賢太も考える時間が多くなるのに__。
その時、ふと新田くんと目が合った。
軽く頷いたのは、私の考えが通じたからだ。
優しく微笑んでくれて、それだけで私は満足だ。賢太なんてどうでもいい。
ゆっくり歩み寄る。
壁に掛けてある「時計」に。
『クリアです』
次は【い】だけど、悠馬が賢太の首に腕を回して離さない。
「も、もう僕の番だ!離せよ!」
「やだね。お前は3分でいい」
「頼むから離してくれよ!」
「お前が失格になりゃいいんだよ!」と、悠馬はホントに離すつもりがないらしい。
賢太がようやく解放された時には、本当に3分を切っていた。
間に合うのか?



