留守番、電話?


ひょっとして、これもしりとりなの?


「留守番電話!オッケーでしょ?」


スマホを突き出し、明香がスピーカーに向かって尋ねる。


しばらく沈黙のあと__『クリアです』と声が流れた。


「やったじゃん!」


「凄いよ!」と、響子に続いて私も明香を抱き締める。


まさに発想の転換だ。


制限時間が表示されるため、私たちはスマホだけは持っていた。


それを逆手にとるとは、さすが明香。


時間ぎりぎりにクリアをし、次の新田くんに【わ】のバトンを渡した。


腕組みをして少し考えると、教室の後ろに向かう。


そこは掲示板で、色んな掲示物が貼られていた。


そのうちの一つを指先で掴み「和紙」と言う。


それは、習字の和紙だ。


『クリアです』


新田くんも、さすが。


しかも、次の響子は【し】という比較的、探しやすいものを見つければいい。


きっと、そこまで考えてのことだろう。


『全員、クリアです!』


私たちはハイタッチをして喜びを分かち合う。もちろん、賢太以外の5人で__。


そのうち、例の目眩がしてきた。


現実世界に戻り始めるんだ。


私はホッとするけど、チラッと賢太の顔を見ると真っ青だった。