死りとりゲーム



『それでは、しりとりゲームを始めましょう!』


スマホが不意に震えたのは、お昼前だった。


4限目は国語だ。


新田くんと顔を見合わせているうちに、意識が遠のいていく__。


気づけば、だれも居ない教室。


2回目ともなれば、戸惑うこともなく異空間を受け入れることができた。


『つ、から始まる文字でスタートです!』


トップバッターの響子に視線が集まる。


目だけで頷いた響子は、自分のカバンを机に取り出した。


予定通り【つめきり】で始まるはずだ。


けれど__響子の言葉に、私たちは全員が絶句する。


「机!」と言ったからだ。


それも元気いっぱいに。


「ちょっと!なに言ってんのよ⁉︎」


明香が怖い顔をして詰め寄る。


一体、なにを考えているのか、響子は全く悪びれた様子もなく「だって、ひょっとしたら同じものでもオッケーかもしれないでしょ?確かめなきゃ」と言った。


机は2回目だ。


前回、明香が同じものでクリアした。


響子の言うことも分かるけど、もしこれでクリアすれば、残りの私たちが用意してきたものが全部ムダになる。


『同じものは2回と使えません』


そんなアナウンスに、私たち一同はホッとする。


1人だけ響子がすねたように「じゃ、つめきり」とかばんから取り出した。


『クリアです』