「な、なんでっ?」


両膝をついた賢太を、私は立ったまま見下ろす。


こうなった理由を、絶対に教えてやるもんか。


どうして?と思い続けて死ねばいい。


お前みたいなやつ、死ぬのが1番なんだ。


胸元についた返り血も気にせず、私は賢太が息絶えるまで見続けていた。


やがて、前のめりに倒れる。


これで、みんなの仇がうてた。


生き残ったのは私だ。


勝ち残ったのは私なんだ。


『田辺史恵、ゲームクリアです!』


明るい声が、校内に響く。


もう2度と、ここに来ることはない。


たくさんの記憶が残っているけど、思い出す必要はない。


忘れよう。


できるだけ早く、忘れよう。


こんな恐ろしいゲームがあったことを__。


足元がぐにゃりと揺れた。


現実世界に帰るんだ。


そこでまた、賢太は死ぬ。


喉の痛みに悶え苦しんで、2回目の死を味わうんだ。


馬鹿みたいに「どうして?」と繰り返すだろうけど、私は黙って見守ろう。


あいつが死ぬのを、この目で見届ける。


心配はない、私が殺した証拠なんてどこにもないんだから。


賢太が苦しむ顔を想像するだけで、私はなんだか楽しくなってきた。