あんこ?
「そう。タバコとあんこ。どっちも【こ】で終わるから、最後のこっちは1つ用意すればいいだけだ」
新田くんの説明に、私たちは「ほーっ」と感心するしかない。
最後は【こ】がつく言葉だ。
「はいはーい!コンタクトレンズ!」
響子が自信満々に手を上げた。
「誰かコンタクトしてる?」と逆にきかれ、全員が首を振る。
「買うのはもったいないし、最後に【ず】で終わるのは次が困るからな」
そう言って考え込む新田くん。
次の人のことまで考えてるなんて、さすが。気配りができて優しいんだなぁ。
「それこそ米にすりゃいいだろ?」
「おっ、たまには悠馬も良いこと言うな」
「たまにってなんだよ!」
悠馬が、今度は新田くんに殴りかかっているけど、2人は仲が良い。
賢太の扱いとは雲泥の差だ。
「じゃ、これで決まり!みんなちゃんと自分のものは忘れないで持ってきてよ!」
明香がまとめた。
私はリップ担当だから、なにもしなくていい。
そっとカバンに忍び込ませておけば、そのまま向こうにも持っていける。
これでスムーズにクリアできるはずだ。
それはそれで味気ない気もするけど、焦ってパニックになるよりいい。
これは不正じゃない。
明香のナイスアイデアだから。



