瞬きをすると、目の前に新田くんが立っていた。


ここは屋上じゃなく、校庭。


思わず空を見上げる。


あんな高さから落ちたのか__できれば、地面に叩きつけられる前にゲームの世界から抜け出したかった。


でも、でもあの時、新田くんは立ち上がったんだ。


「__新田、くん?」


青ざめた顔をしているのは、屋上での出来事を思い出しているからか。


「ひやぁー!」と情けない声を出す賢太も、すべてを思い出したに違いない。


2人は屋上から転落した。


起き上がったのは、ひとり。


新田くんか?それとも、賢太なのか?


「田辺?」


そう言って伸ばされる手を、私は掴んだ。


その瞬間、どんっ!という衝撃が伝わってくる。まるで、体の中の爆弾が爆発したかのような__。


「あぁああっ!」


賢太が悲鳴を上げて、その場に崩れ落ちる。


やった、新田くんが助かったんだ!


大好きなひとを抱きしめる。


「良かった、本当に良か__っ、た?」


しかし、そんな私の腕の中から、新田くんがこぼれ落ちていく。


頭から血を流して、どんどん重くなる。


「ああ、落ちたときは死ぬかと思った。でも、クッションになってくれたからさ」


賢太をいくら睨みつけても、新田くんは戻らない。


「ご、ごめん」


それが、最後の言葉だった。