蜘蛛だった。


死り神は、2階の教室によじ登ってきたんじゃなく、上から降りてきたんだ。


シュッ。


逆さ吊りのまま放った鎌が、とんでもないスピードで私に向かってくる。


動くことも避けることもできず、ただ目を閉じるだけ__。


「危ない!」


声が飛びかかってきたかと思うと、次の瞬間には床に倒れ込んでいた。


「新田くん!」


倒れた拍子に肩をぶつけたのか、顔をしかめる新田くん。


なんとか肩を支えて立ち上がろうとしたとき、ぎょっとする悲鳴が響き渡った。


鎌が突き刺さった掃除用具入れから、賢太が飛び出したんだ。


悲鳴を上げて逃げていく賢太を、死り神が追いかける。


「今のうちに!」


腰を支えて歩き出したけど、すぐに新田くんにリードされて廊下を用心して進む。


死り神が賢太を見失うことがあれば、私たちが危機にさらされる。


「絶対に見つからない場所に行こう」


しっかりした足取りで、階段を上っていく新田くんの後をついていきながら、考えていた。


絶対に、見つからない場所?


そんな場合がこの学校にあるの?


半信半疑でたどり着いた場所、それは【屋上】だった。