真っ暗になった。
全員が動きを止め、耳に神経を集中させる。
教室の扉は開いていたか?
前回のように、死り神は明るくなってから堂々と入ってくるの?
どちらにしろ、殺されるのは賢太だ。
私と新田くんは、賢太を助けるつもりは毛頭ない。
だから、私たちが身を隠す必要はないはず__。
かちっ。
小さな扉が閉まる音がした。
やっぱり死り神が来たんだ。
「田辺、注意しろ」と、近くで声がする。
肩を怪我して大変なのに、新田くんは私のことを心配してくれて。
暗闇の中、手探りで机に触れると、その間に身を潜めた。
胃がひりつくような、痺れる時間。
ようやく、明かりが戻る。
__えっ?
教室内には、誰も居なかった。
賢太も、死り神の姿も見えない。
まさか逃げたのか?そんな足音は聞こえなかったけど?
「新田くん!」
倒れていた新田くんの元に向かおうと、立ち上がる。
このとき、私は忘れていたんだ。
死り神は失格者を最優先に襲う。
でも、失格者が見当たらなかった場合、標的は残りの参加者に向けられる。
「田辺!窓、窓から!」
「えっ?」
振り返ると、新たな死り神が窓から忍び込んでくるところだった。