明かりがついた。
案の定、死り神はいない。
「気をつけろ!」
すぐそばで、新田くんの声がした。
ふと背後を見やる。
前回の技術室のように、窓から入り込んでくる可能性もある。ここは3階だけど、人間離れした死り神ならあり得なくもない。
けど、窓の向こうにはのどかな町が広がっているだけ。
「だ、誰か来る!」
賢太の声に、廊下に向き直った。
足音が聞こえてくる。
まさか、他にも誰かいるの⁉︎
果物ナイフを両手で握りしめて、膝立ちして首を伸ばす。
足音は、扉の前で止まった。
すーっ。
ゆっくり扉が開く。
「うそ、だろ」
1番、扉に近かった賢太が呟き、2、3歩後ずさった。
唖然としている新田くんも「逃げろ」と私に言うだけで。
悠然と近づいてくる死り神を前に、私は改めて恐怖に身をすくめる。
堂々と、私に向かってやってくる死り神に。
奇襲を仕掛けようと意気込んでいた私たちは、完全に出鼻をくじかれたんだ。
死り神からすれば、なにも奇をてらわなくてもいい。
そんなことをしなくても、私なんか簡単に殺せるんだから。
真っ直ぐに見据えられ、催眠術にでもかけられたようにまったく動けない。
殺される。
殺るつもりだったのに__。



