図書館がざわついた。


私は椅子からずり落ち、賢太も勢いよく立ち上がった拍子に、椅子が大きな音を立てて倒れる。


「し、慎也?慎也!」


めぐみの声がした。


机に体を押し上げると、新田くんが突っ伏しているのが見えて、肩からは血がポタポタと垂れ落ちている。


小さな悲鳴があちこちで起こるけど__まだだ。


こんなの、序の口。


ゲームで起きたことが、今まさに起こっている。


いたずら半分でお面をつけ死り神になった賢太が、刀賀の首を__。


「ぎゅあああああー‼︎」


けたたましい叫び声が、瞬く間に広がっていく。


ごろん。


首が転がったんだ。


綺麗に刈り取られた首が。


みんな逃げていく。


我先にと、本を放り出して図書館から逃げていく。


殺した張本人の賢太も、驚いた顔を見ると死り神になったことは覚えていないようだ。


新田くんも、めぐみに肩を支えられて出て行った。


呆然とそれを見送る私は、動けずに座り込んだまま。


みんなが羨ましい。


だって、逃げられるんだから。


死りとりゲームという呪縛に絡め取られ、身動きができない私は、ゲームを続けるしかない。


どれだけ犠牲者が増えても、この恐ろしいゲームをやめることはできないんだ。