えっ⁉︎なんで響子が?


ぽかんと口を開けているのは、私だけじゃない。


「__史恵?」


ここはどこなの?


私は何をしているの?


見開かれた目が、私にそう尋ねている__。


ローブをまとった響子は、自分が振り上げている手を見上げた。


その先に、鎌を握りしめているのも。


そして、私に向かって振り下ろそうとしていたのも。


「ひっ!」


息を飲み込んで、響子は鎌を放り投げる。


ローブに手をかけ「そんな、どうして?」と激しく動揺していた。


ついさっきまで、賢太を殺そうと躍起になっていた死り神。


それが、お面が外れた途端、我に返ったんだ。


「私じゃない。私じゃ__」


涙目で首を振る姿が、響子が自分を取り戻したことを物語っていた。


「響子?」


「史恵、わた、私じゃない」


「分かってる。だから安心して」


そう言って、静かに響子に触れる。


びくっと体を震わせていたけど、次第に震えはおさまっていった。


「史恵、私、自分だけ退会して__」


「いいの。もういいんだよ」


そっと、響子を抱きしめた。


ゲームが終われば、こうしたいと思っていたんだ。


響子を許してあげようと__。


どんっ。


なにかがぶつかった。


「響子?」