ぎろっ。


死り神がロッカーを振り返った。


賢太は、私を囮にする気だったんだ!


「っ⁉︎」


慌ててスマホの電源を切ったけど、もう遅い。


ひとっ飛びでロッカーにやってきた死り神が、扉に手をかける。


中から必死で扉を掴むも、凄い力で引っ張られ__。


「田辺っ!」


そのとき、新田くんがハサミを構えて向かってきた。


それを、軽くひと払いで吹き飛ばす死り神。


新田くんが机もろとも、なぎ倒される。


再びロッカーに向き直った死り神。


こ、殺される⁉︎



私はとっさに、握りしめていたモップの柄をその顔めがけて突き出した。


かんっ。


お面を弾き、死り神が少しよろける。


その隙にロッカーから飛び出したとき、肩と肩がぶつかって__。


大きく腕を振り上げた死り神と、鎌の刃。


あれが振り下ろされたら、私は死ぬ。


死というものを間近に感じ、思わず目をきつく閉じてしまった。


今にも、焼きつくような痛みが体に__?


からん。


なにかが床に落ちた。


そーっと目を開けると、まず飛び込んできたのは足元に転がっている【お面】だった。


死り神のお面が、取れたんだ。


「__史、恵?」


聞き覚えのある声に、私は顔を上げる。


そして愕然とした。