【た】から始まるものも、いっぱいある。


調理実習室に行けば『たまご』も『たばすこ』もあるだろう。


それなのに、賢太はジッと考え込んでいた。


まだ、私たちに復讐する気か?


次の新田くんに、難しい言葉でバトンを渡すつもり?


だから難しい顔をしているのか、探す素ぶりもなくただ時間だけが過ぎていく__。


「ちょっと、また死り神が出てくるじゃない」


制限時間が半分になったところで、急かすつもりで賢太に言った。


思いついていないはずがない。


なにか別の思惑があって、動かないんだ。


「死り神は殺しただろう?まぁ、また出てきたところで殺せばいいけど」


「えっ__?」


「だってそうだろ?殺してもクリアしたことには変わりないんだから。ましてや、罪に問われない」


賢太の迷いのない声色に、ぞくりとする。


いつもおどおどと目線を泳がせていた、いじめられっ子はもう居ない。


「僕は感謝してるんだよ?竜ヶ崎を殺してくれたことにね」


「なに、言ってるの?」


「あいつは偽善者の塊だよ。生徒のことなんかなにも考えちゃいない。僕がいじめを訴えた時も、いじめられる僕にも原因はあるって、あいつはそう言ったんだ!」