目の前にうさぎ小屋がある。


ぴょん太が中で、飛び跳ねていた。


殺さなくて、本当に良かった。


というより、ゲームは終わったの?


明香と悠馬が殺された時は、その時点でゲームは終了だった。


ポイントも入らず、無効になるシステムなのだろう。


でも今回は、私たち参加者は誰も死んでいない。


死んだのは__死り神だ。


それなのに現実世界に戻ったということは、ゲームは強制終了されたということ。


それより気になるのは、死り神の正体。


はっきりと顔を確認したのは、新田くんだけ。そして新田くんは、どうしてあんなに驚いていたの?


まずそれを確かめないといけないと思い、校舎の中に戻る。


「ふ、史恵!」


ちょうど響子と賢太と鉢合わせした。


「おーい、ホームルーム始まるぞ!視聴覚室に急げ」


先生が、いつものように明るく言った。


こんな時だからこそ、明るく振る舞って生徒たちを元気づける、担任の竜ヶ崎先生らしい。


「あのっ、先生?」


その後ろから、いつの間にか現れた新田くんの顔色は真っ青だった。


「なんだ新田。具合でも悪いのか?」


笑顔で首だけ振り返った先生が突然、弾けた。


体の中で爆弾が爆発したように震えると、頭から血が流れ出したんだ。


止めどなく溢れ出てくる血で、先生の顔は見る見るうちに赤く染め上がる。