『これから皆さんには、しりとりをして頂きます!』
なぜか校内放送から、女性のアナウンスが流れてくる。
これではっきりした。
やっぱり私たちは【しりとりゲーム】を始めることになったんだ。
授業中でもなければ、私たち以外には誰もいない。
つまり、特別な異空間というわけか?
「こんなことって、あるのか?」
普段は物静かないじめられっ子の賢太も、この時ばかりは驚いている。
私だって信じられない。
信じられないけど__ゲームの説明は続いているわけで。
『制限時間は1人10分です。10分の間に、前の人が選んだ言葉の、最後の文字から始まる【もの】を、この学校内から見つけて下さい』
「えっ、ちょっと待ってよ!」
響子が声を上げた。
私だって、まだ聞きたいことはたくさんある。
【は】と【ぱ】と【ば】は同じでいいのか?
同じ言葉はNGなのか?
そしてもし見つからなければ?
失格になるだけ?
分からないことは山ほどあるというのに__。
『順番はそれぞれのスマホに表示されます』
そんな言葉にスマホを確認すると、画面に大きく②と表示されていた。
私は2番目というわけか。
まだ1番じゃなくて良かったかも。
だって、なんの文字がくるか見当がまったくつかない。
「最悪、あたし1番なんだけど」
響子が吐き捨てる。
最初の文字は__?