溺愛婚姻譚〜交際ゼロ日ですが、一途な御曹司と結婚します〜


◇◇◇

舞い散る花吹雪。真っ白なチャペル。


「美華、おめでとう」


祝福の声があちらこちらからあがる。

(そうかぁ、私、結婚したんだ。よかった。これでお父さんにもお母さんにも、あれこれ言われなくて済むんだぁ……)

遠い空から自分を見下ろしているような、他人事の感覚に包まれた。
ところが、新郎の姿がどこにもない。

(新郎は? ってその前に新郎って……誰?)

そこで美華はハッと目が覚めた。目に入った光景に頭が混乱する。


「ここ、どこだっけ?」


どうやら夢を見ていたようで、現実との境がわからなくなったみたいだ。


「そうだ、博人さんのマンションに住み始めたんだ」


記憶の糸が繋がったところで、肝心の彼の姿が見当たらない。