溺愛婚姻譚〜交際ゼロ日ですが、一途な御曹司と結婚します〜


「あぁ……気持ちいい……」


両手両足を伸ばして大の字になると、それだけで幸せだ。ここ数日が濃密だったため、余計にそう感じるのかもしれない。

しばらくそうしてベッドに抱かれるようにしていた美華は、ゴロンと反転しうつ伏せになった。
写真集を開き、ゆっくりとページをめくっていく。
世界中の美しい景色を集めたそれは、見ているだけで想像を掻き立てられる。断片的に浮かぶシーンから、どういう展開にしようかと考えるのが楽しい。

そうしているうちに時間があっという間に過ぎていく。

(博人さん、まだ仕事してるのかな)

ページをめくる指先がどんどんスローペースになってきた。ふわぁと大きなあくびも出たかと思えば、急激な眠気に襲われる。
ベッドサイドの時計を見ると、午前〇時を回っていた。

博人を待っているのが筋かもしれないが、重い瞼に抗う余力もない。閉じたら終わりだとわかっていながら、そっと瞼を伏せた。