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ここから出たら、待ち受けるのは……。
夫婦同然。同じ寝室。
そう言っていた博人の言葉から考えられるのは、たったひとつしかない。
結婚を決意した以上、それを拒むのはナンセンス。気持ちが育っていなくても受け入れなければならないと、強迫観念にも似た思いでいた。
広いバスタブに鼻の下まで浸かりながら、美華の逞しい妄想が立派に花開く。
(あれがああなって、こうなって……)
ところが、ある時点までくると想像にも限界が訪れる。なにしろ未経験だ。
(ど、どうしよう!)
両足を踏ん張って湯船から顔を出してプハーッと息を吐くと、湯気で白く煙ったバスルームにその息遣いが響いた。
「なるようにしかならない、よね」
鼓舞するように自分に言い聞かせ、髪を乾かしてバスルームを後にする。
それでも緊張と不安でいっぱいなのに変わりはない。



