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「あーうまかった」
食べ終えた博人が、満足そうにお腹を押さえる。
自分の作ったものを家族以外の誰かに食べてもらい、それをおいしいと言ってもらえる幸せがあるのを美華は初めて知った。
これまで男の人に手料理を振る舞ったことは一度もない。
「片づけは俺がやるから、美華は風呂に入っておいで」
「私がやるからいいですよ。博人さんこそ疲れているでしょうから、お先にどうぞ」
「言っただろ、家事を押しつける気はないって。ほら」
美華の肩に手を置き、身体をくるりと回転させる。
そこまで言われ頑なになるのもどうかと、片づけはお願いしてバスルームに案内してもらった。



