溺愛婚姻譚〜交際ゼロ日ですが、一途な御曹司と結婚します〜


ここ三日間が急な坂をコロコロと勢いよく転がるかのように過ぎたため、考える余地もなかったのだ。
顔が赤くなるだけでなく、心臓は早鐘を打ち始めた。

(と、とりあえずなにか言わなくちゃ)

焦る口が、脳からの指令を待っていられずに開く。


「お腹空いていませんか?」


自分でもなにを言っているのかと呆れた。
博人は目を白黒させたかと思えば、プハッと吹き出した。


「ほんっと美華は……」


ククッと笑って口もとを押さえる。


「な、なんですか。またおもしろいって言いたいんですか?」


これでそう言われるのは何度目か。おもしろがらせるつもりはまったくないのだけれど。


「いや違う。かわいいなって」
「かっ、かっ……!」