溺愛婚姻譚〜交際ゼロ日ですが、一途な御曹司と結婚します〜


その両隣にはうぐいすを模した練りあんや、ビー玉のように七色にキラキラ光るゼリーなど、どれも言葉で表せないほどに美しい。

語彙力や表現力があれば、的確な説明ができただろう。


「いただきます」


軽く手を合わせてから、菓子楊枝でひと口サイズに凝縮された〝星空〟を刺した。

食べるのがもったいない気はしたが、ひと思いに頬張る。その瞬間、つるりとした口当たりとまろやかな甘みが口いっぱいに広がった。


「……おいしい」


言葉上はあまりにも簡単すぎる表現だが、言い方に熱がこもる。とにかくおいしいに変わりはない。

次はどうだろうかと、うぐいすもパクッとしてみれば、これまたやわらかい餡が上品な甘さで格別な味だった。

(どうしよう。おいしすぎて幸せ!)

思わず両頬に手をあてて感激していると、目の前からクククと軽快な笑い声が聞こえてきた。
そこで美華は自分の置かれている状況を思い出す。