溺愛婚姻譚〜交際ゼロ日ですが、一途な御曹司と結婚します〜


「昨日言ってただろ。『今日は綺麗にしていますけど、メイクをとったらすごく地味な顔立ちなんです』って。ノーメイクってことはないだろうけど、今日も十分かわいいよ。そのワンピースも似合ってる」
「そ、そんなことっ」


なんと返したらいいのかわからない。思いがけず褒められ、口をパクパクと動かした。

そんな様子を見て、博人はさらに微笑む。

なんて威力のある笑顔なのか。ドキッというよりはドックンと鼓動が弾み、衝撃が激しい。

ただ、今日も気張ってメイクしているし、ベージュのシフォンワンピは一張羅だ。
つまり普段の美華とも少し違う。いや、かなりだ。


「いつもはもっとラフなんですからね? 部屋着でコンビニだって行くこともあるし」
「わかったわかった」


聞き飽きたとばかりに博人が宥めすかす。


「ほんとに変な期待はしないでください」


そこは声を大にして言いたい。
お互いに知らないからこそ、最初が肝心だ。