溺愛婚姻譚〜交際ゼロ日ですが、一途な御曹司と結婚します〜


「お許しをいただけるなら今日からでも」
「な、な……」


言葉にもならなかった。
婚姻届を持ってきたかと思えば、今度はすぐにでも一緒に住もうという。

正隆も弥生も、目を激しくまたたかせている。


「美華さんと早く夫婦らしくなりたいと思うんです。父の作り上げてきた会社とはいえ、社長である以上、毎日時間をいっぱいに使っております。限られた時間をできるだけ美華さんと過ごしたいと思いまして」


いくらなんでも今日から同居はないだろうと思った矢先、〝夫婦らしく〟という部分に美華の心が動かされる。

昨夜は結婚を前向きに考えるとだけ博人に言ったが、すでに自分の気持ちがほぼ固まりつつあることに気づいた。

なんの相談もなくいきなり両親に婚姻届を見せたり、同居を申し出る強引さは否めないが、美華との未来を真面目に考えているのはわかる。


「美華はどう考えているんだ?」


正隆に聞かれ、頭の中を整理する。