「昨日、いろいろと見せてもらったんだけど、美術館もホテルも、どれも素敵なデザインだったよ。おしゃれな外観でね、壁が……」
そこまで思ったままを言ってから、正隆と弥生がキョトンとしていることに気づき我に返る。
「美華、ありがとう」
博人から魅惑的な笑顔でお礼され、口が過ぎたと気づいた。
これでは博人を好きだとアピールしているも同然ではないか。
「あ、ええっと……」
誤魔化そうにも、弥生が意味ありげに微笑んでいるから余計に言葉が見つからない。
「今一度お聞きしますが、本当にうちの美華との結婚をお考えですか?」
重々しい口調で正隆が確認する。
美華から話を聞いき納得したふたりだが、本人を前にしてさすがに不安を覚えるのだろう。
なにしろ出会ってまだ一日だ。
「そのつもりでここへ参りました」



