「美華さんのスイーツ好きはお母様譲りなんですね」
「あらやだわ、私ったら」
弥生は年甲斐もなく頬を赤く染め、そそくさと正隆の隣に座った。
美華も同じようにそうしたが、和菓子にまっしぐらだった昨日の自分を見せた後では遅いだろう。
「それにしましても、どこの俳優さんかモデルさんかと思いましたよ」
「もったいないお言葉です」
弥生が興奮を抑えながら話している隙に、美華はケーキを取り分けた。
「設計会社の社長さんだと伺いましたが」
正隆に尋ねられ、博人が名刺を差し出す。
「ほぉ、ビルドポート。大きな企業じゃないですか」
「社長とはいっても父親から引き継いだだけですので」
「あ、でもね、博人さんは立派な建物をたくさん設計してるの」
謙遜する博人に思わず加勢する。



