「キス」 「キ、キスって!」 「あ、今のじゃ物足りないか」 「違いますっ」 そういう問題ではない。 顔を近づけてきた博人を両手で止めた。 ところが、それすら物ともせず手による防壁をいとも簡単に突破したかと思えば、もう一度唇を奪った。 「よろしくな。俺の奥さん」 頭をポンとし、博人はいたずらっぽく笑った。