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フレンチを堪能した後、美華は博人の車で自宅前まで送り届けられた。
「で、決心はついたか」
停車した車の中で彼が尋ねる。
博人と結婚に向けて歩きだす決意。それは、店を出てからここまで繰り返し悩んだ難題だった。
「最後にひとつ聞いてもいいですか?」
目で頷く博人を待って続ける。
「今日のお見合いのお相手は、どんな方だったんですか?」
社長の彼に見合う女性だと察しはつくが、参考までに聞いておきたい。
「俺の父が懇意にしている老舗呉服屋のお嬢さん」
そういえば、と思い出す。ホテルで着物を濡らしてしまったときに、博人は『呉服屋の娘なのに』と言っていた。



