改めてメニュー表の上に目を滑らせる。話に夢中になり、美華もうっかりしていた。
向かいから覗き込んでみるとフレンチのようだ。
博人に好き嫌いを尋ねられた後、本日のおすすめコースをお願いした。マナガツオのポワレや鴨胸肉のローストが食べられるらしい。
「それにしても、知り合ったばかりにしてはずいぶんと仲良しね」
「だろう?」
同意を求めるように目配せを寄越すが、美華はどう返したらいいのかわからず俯く。
「博人が女の子連れなのも珍しいし」
真知子のひと言に美華の耳がピクリと反応する。顔はそのまま、耳に神経が集まった。
「あ、そこんとこよーく言ってやってくれ。どうも彼女があまり信用してくれなくてね」
いきなり自分を持ち出されたため、ハッとして顔を上げる。
「それはまだ知り合ったばかりですから仕方がないです……!」



