溺愛婚姻譚〜交際ゼロ日ですが、一途な御曹司と結婚します〜


「あぁ、さっきのは高校時代からの友人」


となると十数年来の知り合いになる。出会って数時間の美華とは天と地ほどの差があるわけだ。
とはいえ名前で呼び合うとなると、それなりの仲なのではないか。余計な勘繰りをしてしまう。


「この店は料理人の旦那とやってるんだ。結構人気があるみたいだぞ」
「え? あ、ご結婚されてるんですか」


不特定多数の恋人未満のひとりかと誤解するところだった。密かにホッとする自分が滑稽だが、結婚を考えている相手なら当然だろう。


「もしかして……」


博人がテーブルに身を乗り出し、ニヤリという笑みを浮かべる。


「ヤキモチってやつか」
「ちっ、違います!」


つい大きな声になり、静かな店内の注目を集めてしまった。


「ただ、仲が良いんだなって思っただけです。お互いに呼び捨てだったので」