博人のほうはホテルのカフェで電話がかかってきたときに早速断ったらしく、すでに話がついているらしい。
「質問があればなんなりと」
そう聞かれて、美華が真っ先に思い浮かんだのは年齢だった。
「藤堂さんは、おいくつですか?」
聞いたとたん、博人が噴き出す。
「最初の質問がそれ?」
「ちょっと気になったので」
若くは見えるが、大手の企業の社長というくらいだから、それなりの年齢じゃないかという憶測だ。
「三十二歳」
「えっ、あ、そうなんですか」
「その反応はなんだよ。もっと上に見えるって?」
不満そうな視線をチラッとだけ美華に向けた。



