溺愛婚姻譚〜交際ゼロ日ですが、一途な御曹司と結婚します〜


こんな展開なら無理もないだろう。


「別に俺は立派じゃない」
「いえいえ、十分立派です。私なんて会社勤めの経験もない、しがない絵本作家なんですから」
「絵本作家? 夢がある仕事じゃないか」
「そうかもしれませんが、あなたと私とでは住む世界が違いすぎると思います」


お見合い相手も、立派な家系の令嬢だと想像がつく。


「この地球上に住んでいるんだから、世界は一緒じゃないか」


なんて壮大な、と目が丸くなる。


「これは勝手な想像だけど、キミも親に言われて渋々ここへ来たんだろう? きっと、ご両親からこれまでに何度も結婚の話が出ていたんじゃないか?」


なんて鋭いのか。まさしくその通りのため言い返せない。


「もう一度聞くけど、今日会おうとしていた相手との結婚は?」
「考えていません」