「ただ、着替えにはちょっと心が揺れたんですけどね」
「え?」
「慣れないから苦しいし、あまり食べられないですから」
正直に白状して笑う。
一瞬目を見開いてから、彼はクスッと笑った。きっと、どうしようもない食いしん坊だと思っただろう。
素直になり過ぎたかと後悔しても、もう遅い。
(って、今日限りなんだもん。どう思われてもいいじゃない)
彼によく見せる必要はないと自分を納得させた。
「キミ、おもしろいな」
「……そうでしょうか?」
どこがどうおもしろいのか美華にはさっぱりだ。
「呉服屋の娘なのに」
「え?」
呉服屋の娘とはなんの話か。
美華が目をまたたかせる。
父親は出版社勤め。呉服とはまるで縁はない。



