◇◇◇
それから間もなくしてやって来た博人は、姿を見るなり真知子がいるのも構わず美華を抱きしめた。
「よかった……」
切ない声が鼓膜を震わせる。
「黙っていなくなってごめんなさい」
美華は、そう言うだけで精いっぱいだった。
「俺こそ、ごめん」
その腕の強さに揺れていた心の振り子がぴたりと止まる。
「美華の気持ちも考えず、いろいろ強引に決めて悪かった」
「……いえ、大丈夫です」
「俺のこと、嫌になってない?」
博人が自信なさそうにするのを美華は初めて見た。瞳は頼りなげに揺れ、不安そうに見つめる。
嫌になっていたら、ここで待たずに逃げ出していただろう。
美華は首を横に振って答える。
「よかった」
深く息を吐きながら、博人は美華の存在を確かめるかのように強く抱きしめた。



