再び始まった言い合い合戦。でも、クリーニング代も同じだ。
「あっそうだ! この着物、処分する予定でした」
嘘も方便。美華はいい理由を思いついた。
「……はい?」
「もう着ないんです。だからクリーニングも出す必要がないんです。ごめんなさい、忘れていました」
「そう、なんですか?」
申し訳なさそうに確認され、笑顔で頷く。
「彼女もこう言っていますから」
父親の部下である彼の後押しもあり、ようやく店の責任者は引き下がった。代わりに和菓子を美華たちのテーブルに運んでくる。
「これでお詫びになるとは思いませんが、よろしかったらいかがでしょうか」
「わぁ、いいんですか?」
つい顔が華やぐ。
皿には菜の花をあしらったかわいらしい練り菓子が乗っていた。



