(まさか……)
嫌な予感が胸をかすめる。
「そこで美華を妻として紹介しようと思う」
「えーーっ! そんなの急に無理です!」
心の準備ができていない。
足を止めて踏ん張った。
あまりにも急すぎてパニック寸前だ。
「大丈夫。俺の隣にいればいいだけだから」
「そんな簡単に言いますけど……!」
主役の隣にいれば注目を浴びるのは当然。それも、その妻の初披露となれば好奇の視線は免れない。
社員たちも大勢詰めかけ、社長の妻の批評を始めるのは目に見えている。
とびきりの美女ならまだしも、いくら着飾ったとはいえ、美華は大役を務めるのは厳しいだろう。
「簡単だよ。さぁ行こう」
立ち止まった美華の腰を強く引き寄せ、博人がスマートにエスコートする。
「ひ、博人さんってば! 待ってください!」
「まずは俺の両親に会おう」



