「お役に立てて光栄です」
彼を真似ておどけた。
ちょうどいいタイミングで、モダンな和皿にのった天ぷらが出される。
「福井の椎茸と千葉の菜花です」
油で揚げているのに菜花の黄色が鮮やかだ。
「ここの天ぷらは素材本来の甘み、苦み、酸味、風味を閉じこめる絶妙な割合の衣なんだ」
「そうなんですね」
「太白、太香の二種類の胡麻油と天然圧縮大豆油をブレンドした体にやさしい油を使っております」
料理長が控えめに説明を加える。
「なにか付けたほうがいいでしょうか?」
「低温でじっくりと結晶化させた奥能登海水塩を添えてありますが、素材のおいしさを生かした作り方をしておりますので、そのままの味をお楽しみいただくのもよろしいかと」
料理長の勧めもあり、美華はなにも付けずに椎茸を口に運ぶ。



