溺愛婚姻譚〜交際ゼロ日ですが、一途な御曹司と結婚します〜


「作家ご本人様がご来店いただいたと伺いましたが……」
「そうなんです。彼女が、この絵本の原作を担当している花村ミカなんです」
「あぁ、『星になったリッキー』を書かれた作家さんですね」


男性が著書のタイトルを難なくあげたものだから、驚いた美華が博人の隣にジャンプするかのようにして並んだ。


「ご存じなんですか!?」


二年前に出した本だ。
飼い主のヒカルとの一生を犬のリッキー目線で綴ったものである。


「ええ。娘が幼稚園の頃に大好きだった本なんですよ。今でも大切にしてますよ。とても心温まるお話ですよね」
「ありがとうございます……!」


こんなところで読者の生の声が聞けるとは思わず、胸がジンと熱くなる。しかも大好きだと言われるとは。それ以上にうれしい言葉はない。


「その作家さんがここにご来店されるとは思いもしていませんでした。お近くにお住まいとのことですので、ぜひコーナーを作らせていただきます。あ、そうだ。サインもいただけますか?」
「もちろんです!」


思わず大きな声で返すと、博人が隣で微笑む気配がした。