とはいっても、すべてが揃っているわけではない。
これまでに手掛けた絵本は、全部で十五冊。そのうちの七冊を見つけられただけでも多いほうだろう。
小さな本屋では一冊もないこともよくある。
「一番新しいのは?」
博人が手にしている中の一冊を指差す。
「へぇ、『森におっこちたお月さま』か」
ほかの絵本を抱えなおし、ページをぺらぺらとめくる。
いつもみんなを明るく照らし愛される太陽を羨んだ月が、あるとき自信を失くして空から落ち、森の動物たちの助けで自信を取り戻していくという話だ。
半年前に発売され、売れ行きは良くもなく悪くもなく。いつも通りである。
「これで全部か?」
「いえ、まだありますが……」
「よし、取り寄せてもらおう」
絵本を抱えてレジへ向かう博人を追いかける。
彼はレジカウンターに本を乗せ、女性スタッフに取り寄せもお願いした。



